“世界で活躍するハンドラー”田村美紀さん

技術を用いて犬の魅力を最大限に引き出す
日本各地や海外で開催されるドッグショーで活躍

日本はもちろん世界のドッグショーに出場

―日常の仕事について教えてください

 

ケンネルスペースタムラでは、ハンドラーとブリーディングを一緒に行っていますので、子犬の世話や犬舎の掃除、トリミングやシャンプーなどが日課です。犬とのスキンシップはもちろん大切にしています。
ドッグショーがある日は、ハンドラーとしてショーに出場します。飼い主さんからの依頼で、日本全国はもとより、アメリカやイギリスで開催されるドッグショーに出場することもあります。

犬の魅力を最大限引き出す役割を担う

―そもそもドッグショーとはどんなもの?

 

ドッグショーとは、犬の姿形を審査する品評会です。犬種ごとの理想像であるスタンダード(犬種標準)にどれだけ近いかを基準に、ジャッジが点数をつけ、その優劣を競います。日々適切に、犬の管理を行うことが、より高い評価を得ることにつながります。こうしたショーがあることで、人間にとってより好ましい性質を持った犬種を、繁栄させることにも役立っているのです。ドッグショーは世界各地で行われていて、アメリカでは、TV放映されるほど人気があります。
このドッグショーで、犬を引く(ハンドリングする)役割を担うのがハンドラーです。ブリーディングでスタンダードに近づける努力はしますが、どんな犬にも必ず短所がありますから、ハンドラーは短所を隠しながら長所を目立たせるような引き方をしています。犬種による骨格構成によっても引き方の技術が異なるので、各々のハンドラーが技術を駆使し、様々な犬に対応していくのです。犬と一体感を持って滑らかに引いた方が、よりよく見せられ犬の評価につながります。

ショーが盛んなアメリカで学ぶ

―アメリカでも学ばれていたそうですね

 

2006年に渡米し、プロのハンドラーに師事しました。ドッグショーはイギリスが本場ですが、アメリカはショーが好きな国民性を持っています。ですから、ドッグショーにしても、ハンドリングにしても大変洗練されています。また、ショー向けのトリミング技術も、日本より進んでいると思います。こうした意味で、渡米したことは私にとってプラスになりましたし、現在も技術を磨くためにアメリカやイギリスに行くこともあります。

プロになるにはより美しく滑らかに

―ハンドラーになるにはどうすればいい?

 

資格などはありますが、必須ではありません。単にハンドラーをやりたいなら、犬さえいれば誰でもできます。オーナーさんで自分で犬を引く方もいらっしゃいますし、趣味でやられている方もいらっしゃいます。
ただし、プロとしてハンドラーをやっていくには犬の知識はもちろん、少なくともオーナーさんよりも、美しく滑らかに犬を引けるようになったほうがいいです。そのためには、現役のハンドラーに弟子入りしたり、犬を扱う専門学校で技術を学んだりするのが、優秀なハンドラーになる近道でしょう。

ハンドラーの仕事をめざす高校生へのメッセージ

自分がどんなハンドラーになりたいかを明確に

ハンドラーにも色んな働き方があります。自分が何をしたいかを明確に。そして、ぜひドッグショーを見に行きましょう。誰でも見学できます。ドッグショーの審査以外のことについても、色々と学べることがあるでしょう。ドッグショーの日程は、ジャパンケネルクラブ(JKC)のHP(http://www.jkc.or.jp/)で公開されています。

ケンネルスペースタムラ
オールブリードハンドラー
田村 美紀さん

 

ブリーダ兼ハンドラーの両親のもとに生まれ、犬に囲まれて育つ。小学校の頃からハンドリングを始め、数々の賞を受賞。2006年に渡米し、Bergit Kabel女史に師事。2009年よりオールブリードハンドラー※ Jody Paquette女史に師事。2010年に帰国し、オールブリードハンドラーとして活躍中。近年は、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのブリーディングに力を注いでいる。

※すべての犬種を扱えるプロフェッショナルハンドラー