東京ドーム5万人のイベントを手がける豊崎雄さんの財産とは
東京ドーム5万人の観客が無事入場 楽しそうに帰る姿に達成感
「ロック・イン・ジャパン・フェス」でライブの洗礼
子どものころからJ-POPが好きで、ラルクアンシエルやJUDY AND MARYがTVの音楽番組に出ていると夢中になって観ていました。高校生だった2003年に地元・茨城の野外ライブ「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」を初めて観に行き、コンサートの楽しさを肌で感じました。
大学進学で上京し、新宿ロフトや渋谷AX、ONAIR EAST、下北沢などライブハウスに通いながら、「将来は音楽業界で仕事をしたい」という想いが次第に強くなっていきました。
音楽業界の就活は「私服で面接」も
就活のときはインディーズレーベル会社やコンサートの制作会社など、沢山の企業を受けました。音楽業界の入社試験は1分間自己アピールなど、スピーチが多かったことも覚えています。入社試験のときの服装も「私服で来社」という会社が珍しくなかったのが、一般企業と音楽業界との大きな違いでした。
アルバイトの経験と人脈が今も財産に
大学卒業後は音楽系の企業に就職しましたが、業務内容のミスマッチのため程なく退職しました。音楽業界は他業界よりも入口がせまいという特徴がありますが、それでもあきらめず、コンサートを運営するイベンターでアルバイトを続けました。このときに、仕事を通じて音楽に関する多くの業務や企業を知り、さらに人のつながりを経験できたことが今でも役に立っています。アルバイトの期間は、現在の仕事をするうえでの糧にもなりました。
最新鋭のコンサート入場システムでツアーに同行
2011年に現在の会社に入社しました。コンサート会場の当日発券システムを運用しはじめたころで、私は新規スタッフとしてコンサートツアーに同行し、入場に関する業務を担当しました。新しい仕組みのすごさに感心しましたが、これまでにない入場時のチェックが増えることにもなるので、全国各地のイベンターにとって手間にならないよう、注意を払うことを心がけました。通信機器の不調などトラブルが起こると開演が遅くなり、観客、スタッフ、アーティストにも迷惑をかけてしまうので、「観客を開演前に全員入場させる」普通ながらも重要な任務を担っています。
現在はチケット購入者の本人確認として、事前に登録した顔写真を当日会場で確認する顔認証システムを導入しています。巧妙化するチケットの不正転売防止を目的とし、正規に購入した人が入場するよう促す効果も期待しています。身分証を係員が確認するよりも、入場がスムーズに行えるメリットもあります。ファンクラブ会員などリピーターの方は、この仕組みを楽しんでくれている様子が見受けられ、今ではファンクラブ特典のようになっているのも興味深い反響です。
グッズ事前予約、当日引換は相乗効果
スタジアムなど、コンサート会場が年々巨大化するにつれて、新たな問題が発生しました。
コンサートグッズ購入の時に長蛇の列ができ、観客が自分の席につくまで時間がかかるため開演が遅れてしまうのです。そこで当社では、コンサートグッズの事前予約と当日引き換えの仕組みを始めました。これによってグッズ売り場の混雑が緩和されて定刻で開演できるほか、売り切れ防止、商品の計画生産も可能になり、皆にとって良いシステムとなりました。
当社は、コンサートに関わる業界の方々のご要望にお応えする、「アーティストの縁の下の力持ち」の会社です。チケット当日発券や顔認証システム、グッズの会場引換もすべて取引先の要望から誕生した仕組みですので、これからも刻々と変化するコンサート業界で皆が楽しめる仕組みを構築して、不正を減らせるよう、日々の業務をしっかり行っていきます。
株式会社テイパーズ
会場システム部 ゼネラルマネージャー 業務担当
豊崎 優太さん
1985年茨城県生まれ。県立土浦第二高等学校から東洋大学社会学部社会心理学科へ進学。
卒業後は音楽プロダクション、イベンター勤務を経て2011年テイパーズ入社。巨大化する全国のコンサート・フェス会場の当日指定席発行、購入者の顔認証による本人確認など最新鋭の会場入場システムの運営業務を担当している。