クラウドファンディングで資金調達。新しいアニメ制作のカタチ

2016年11月12日に公開され、ロングラン上映となった「この世界の片隅に」が2月11日付で150万人を動員。興行収入20億円を突破しました。

この映画は、観客が制作資金を提供し、これを受けたアニメ制作サイドが、観客にリターンを行う「クラウドファンディング」で集まった資金で制作されたのを知っていましたか?

現在主流となっているアニメの制作は出版社やおもちゃメーカーなどから出資を募り、制作資金を集める「制作委員会方式」。この方式のメリットは、数社が資金を出し合うので1社あたりの負担が軽く、もし失敗してもリスクが少ないこと。また、各社が映画を題材にした商品を販売するなど、各種コンテンツビジネスにつなげやすいなどがあげられます。

しかし言い換えれば、そうした商品展開にそぐわない作品は、利益を得ることが難しいと判断され、映像化にされにくいという側面があるんですね。

この映画は、戦時下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きる女性すずの物語で、感動作なのですが、日常生活を主体としていますので非常に地味です。だから、コンテンツビジネスでの収益を考えると、制作委員会方式で資金を集めるには難しい作品に違いありませんでした。

しかし原作が元々根強い人気を持つ漫画作品であることと、作画監督にファンが付いていたことが映像化の後押しをしました。制作のメドが立っていない段階で監督自らが数年に渡る現地調査を行い、その成果報告を行うトークイベントを開催するなど、地道な活動が実を結びパイロットフィルムの制作が決定します。

2015年3月にクラウドファンディングサイト、「Makuake」にて募金を始めたところ初日で750万円を集め、8日後には目標金額の2000万円を達成しました。これをきっかけに映画制作が決定します。公開されると出資者であるファンが映画館に駆けつけ、感想をSNSに投稿。口コミにより人気を博すこととなったのです。

「この世界の片隅に」が成功したことにより、「Makuake」ではアニメのプロジェクトが急増。制作資金を募るのみならず、プロモーションやファンサービスなどの活用も成されています。制作サイドと、それを後押しする出資者が共に作品を創りあげてゆく。クラウドファンディングはアニメーション制作に新しい価値を創出したと言えるのではないでしょうか。